2010年12月15日水曜日

導入に賛否両論の電子教科書。でも本当は他にもっと深刻な問題が・・・

年明けから、あの有名なホテルのヒルトンがipadを使った、新たな結婚式のサービスを行うと発表しました。
結婚式は実際に参加したほうが、楽しいし感動します。
しかし、いろいろな事情があって出席できない方もいらっしゃいます。ビデオで見るのもいいけれど、リアルタイムで見られるということはビデオとはまた違った感覚が見られるのではないでしょうか・・・?

○孫の花嫁姿、iPadで ヒルトン東京が式中継サービス(朝日新聞)
http://www.asahi.com/digital/av/TKY201012130232.html

○ヒルトンが結婚式やコンシェルジュでiPadを活用したサービス開始(日経新聞)
http://www.nikkei.com/tech/personal/article/g=96958A9C93819499E3E1E2E0948DE3E1E3E0E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E7E2E6E0E2E3E2E2E0E2E2

ヒルトン:iPadで披露宴に参加「おうちde結婚式」 式場紹介にコンシェルジュサービスも(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/bizbuz/news/20101213dog00m020038000c.html


さて、ipadつながりですが、今、賛否両論となりつつある電子教科書。
とかく言われているのが、「教科書を電子化すると、勉強しない子供たちが増える」とか、「学力低下の恐れ」・・・といった否定的な意見もあれば、
「紙の無駄づかいがなくなる」、「重たい教科書を持ち運びしなくていい」という電子化を肯定する意見もあるようです。

まぁ、両方とも言い分はわかりますし、とは言うものの実際に導入されないと見えてこない面があるのも事実あるわけですが、しかし、私自身はもっと深刻な問題がある・・・と感じています。

○ここにもiPadの衝撃、「電子教科書」が書店を殺す? (ダイヤモンド社)
http://diamond.jp/articles/-/8438

教科書というものは、出版社から直接、学校へ手渡させるわけではなく、
通常、「出版社→各都道府県の教科書供給所→指定の書店→学校→各々の生徒」という順番で教科書が手渡されます。(実際はもっと細かくさまざまな場所を経由して教科書は生徒の手に渡ります)

上の情報サイトにもありましたが、 「不況や少子化の影響で、雑誌や一般書籍の売り上げが毎年落ち続けている。その中で、教科書販売が最後の砦となっている」・・・(中略)・・・経営をなんとか下支えしてきた教科書が一気に電子化された場合、中堅中小書店の息の根が止まる」(前出の東海地方の書店)という危機感が書店側に強い。という話ですが、
実は、私が学生だった10年前に教科書を取り扱う、教科書供給所でアルバイトをしていたことがあるのですが、すでにこの頃から業界内では教科書電子化の話はちらほら聞こえていて、さらにこれ以前に少子化の影響もあって学校自体の統廃合もあり、この時点でも中小規模の書店が相次いで廃業に至ることもありました。街に残っている書店を見渡すと、大都市のターミナル駅にある大型書店や、DVDや音楽CDの販売やレンタルを行っている複合型の書店などは残っているものの、これらの書店も今、書籍の電子化により、苦しい経営を強いられているといわれています。
このまま教科書が完全に電子化されれば、小規模な書店や、取次店としての教科書供給所の存在が危うくなることは間違いないだろうと思います。さらにこれら教科書を運搬する運送会社にも少なからず影響が出てくる恐れもあります。
率直にいうと、これらに携わってこられた方々の生活の糧となっている仕事を奪ってしまうことです。「こんなのは利権だ」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、大儲けどころか前出の少子化の影響もあって小さな書店や教科書供給所はギリギリの経営を強いられています。

昨今、電子教科書の導入の是非を問うニュースやコラムを見かけますが、その一方で一番、割を食らってしまうのはこうした教科書を扱う業者ではないだろうか・・・と私自身は懸念しています。
言うまでもなく電子教科書を使って教える教師や、それを使って学ぶ子供たちのことも大事ですが、こういった部分に対して電子教科書を導入する前に検討をしていただけたら・・・と強く思います。
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