5/26から始まった、「地域のまちづくりファシリテーター養成講座 ~“エコ交通マップづくり”からエコライフを考えよう♪~」は、今回で最終回。
それにふさわしく、今回は実際に現地へフィードワークへと出かけました。場所は、名古屋市中川区の市バス「五女子(ごにょうし)」~「長良橋(ながらばし)」の間の佐屋街道沿いをリサーチ。
まずは、長良橋バス停で下車。ここから、中川運河を橋で渡ります。中川運河は、もともと、名古屋港と笹島を結ぶ、水運としてつくられたのですが、最近は水運としてはほとんど機能していません。
観光地化された堀川と比べ、やや影が薄いですが、最近ハヤリ(?)の産業観光というやつで、中川運河も息を吹き返してほしいなぁ・・・と思います。
ちなみに、運河からは名駅の高層ビル群が見えました。
さて、そこから「中川生涯学習センター」へ足を運ばせていただきました。
割とこじんまりとしたところでしたが、実は、ここは昔は区役所の本庁舎だったところ。つまり、この界隈は昔は区の街の中心部だったということです。まぁ、悪く言えば、寂れてしまったわけですが、しかし、レトロな下町の風情は感じられます。そういうこともあり、バス通に面したところは、写真のようなレトロな建物が並んでいたりします。ちなみに、ここは、佐屋街道といって、明治天皇も往来されたという由緒ある道。その説明書も街道には立っています。
このフィールドワークでは、街を回って、地元の方へもインタビューをしましたが、ここでわかったことが、このエリアに住む方々の多くは、名駅(名古屋駅のことを指す)よりも、金山へ出る傾向があるそうです。
しかも、市バスよりは、主に自転車が移動手段となっています。
そう、それに関連付けるわけではありませんが、この付近には、下の写真のような、市バスの巡回系統のバスが運行されているのですが、意外にもその存在を知らない方も多いとか。
明らかにPR不足ということが、調査を通じて顕著にわかりました。
お昼を食べたら、最後は五女子バス停から、金山へ戻ります。この五女子から、尾頭橋にかけては、歩道のところにアーケードのような屋根がかかっており、バス停も屋根があることから、雨が降ってもバス待ちの時に傘を指さなくても大丈夫でした。なお、この界隈のお店は安くておいしい店が多かったです。
.:*゚..:。:. このフィールドワークを通じてわかったこと・感じたこと .:*゚:.。:.
バスに乗って・・・ということもありますが、たった1区間のバス停の間に、これだけの街のたたずまいがあることに気づかされ、感動した、といっても過言ではないと思います。
普段、自家用車で通過交通として通っていたら、おそらくコンビニしか目に入らなかったかもしれません。
また、歩いてみて気づいたことは、この佐屋街道沿いに限らずな話だと思いますが、名古屋の街が車優先の道づくりやまちづくりとなっていることです。例をあげるならば、この界隈に駐車場が多いこと。下手をすると、家の敷地よりも駐車場のほうが大きかったりすることもめずらしくはありませんでした・・・。東京や大阪から来られた方がビックリする事もある、名古屋の駐車場の借り賃の安さもあってですが、市バスや名鉄バスなど、地域の公共交通を取り巻く環境の厳しさの現状を改めて知るキッカケとなりました。
そして、今回の目的、公共交通に関連したまちづくりのファシリテーターを養成することですね。
今回は参加者のほとんどがなじみのない場所でのアプローチで、交通エコマップ(利用者本位に立った公共交通MAPづくり)したが、本題としては、地元に戻ってからそういったものを作成していくための交通整理役を育てるための講座でした。
ただ、個人的なことをいうと、これは中長期的な戦略が必要だと思いました。
なぜならば、このセミナーを主催した、(財)名古屋都市センターにも資料が残っているのですが、
この名古屋の自動車主体のまちづくりは、戦後間もなく、つまり、約60年前のことです。
その60年前に、来る自動車中心の社会が到来する将来を見越して、今の久屋大通や、桜通といった、超大型道路の建設が計画されたわけです。その後、案の定、その時代になったわけですが、その60年の歴史をたった数年でひっくり返すことは、不可能に近い行為なわけです。
また、道路を狭めてLRT(超低床式路面電車)を走らせたり、都心部への車の侵入を防ぐということは、行政との調整も必要ですし、運送会社など、運輸系企業からの反発も必須となることが予想されます。このあたり、市民とは違う立場の方々との協働をうまくやっていくには・・・。
私の中には自分なりの答えがありますが、あえてここには書きません。
最後に、「バスを征することは、地域交通を征する」というコトバが講師の方からありましたが、まさしくそうだな、思いました。
バスって、電車ができない、こまごまとした運行や、住宅地と駅を結んだり、駅と工場や遊園地とを結ぶ大事な役割を担っています。
さらに、私が思うに、バス利用者が増えることにより、電車の利用者も増えると思うのです。それは、バスの多くが、駅と目的地を結ぶという路線が多いこと。バスを利用する人が増えれば、当然、都心に出るときに電車を使うわけですから、利用者が増えれば、電車の本数や両数も増やすことになるからです。
・・・まずは、難しいこと抜きで、たまには電車やバスで出かけてみませんか・・・?
思わぬ発見もあると思いますよ・・・!